糸魚川(新潟) 犂山(750.9m)、高峰(577.5m) 2019年3月16日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:09 駐車場−−6:14 溜池−−6:33 林道−−6:45 林道終点−−7:43 尾根に乗る(700m) 7:47−−7:54 720m峰−−8:06 650m鞍部−−8:26 犂山 8:41−−8:50 650m鞍部−−9:13 720m峰−−9:35 658m標高点−−10:06 高峰 10:18−−10:54 658m標高点−−11:07 尾根を離れる−−11:16 林道−−11:26 林道を離れる−−11:32 溜池−−11:37 駐車場

場所新潟県糸魚川市
年月日2019年3月16日 日帰り
天候曇後雪
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場除雪終点手前の集落内に除雪された広い駐車場あり
登山道の有無無し。ただし高峰にはあるはず
籔の有無全体的に積雪により不明だが、雪が薄かった700m峰〜高峰間はそれほど藪は濃くないと思われる
危険個所の有無往復とも沢〜尾根間に急斜面あり。雪の状態によっては滑落注意
使用した冬装備スノーシュー(無くても可だった)、ピッケル(急斜面であった方がよい)
山頂の展望両山とも無し
GPSトラックログ
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コメントネット検索で1件もヒットしなかった山。天気予報では寒気の影響で悪天が予想されたが出発時は曇りでその後は雪。下界は本降りの雨だった。不動山へ続く林道から往復。残雪が少なく沢の水量が多そうだったので沢の渡渉場所を上流に変更したら上流は雪に埋もれていたのでそのまま沢を遡上して尾根へ上がった。尾根上から犂山山頂まで残雪が豊富で雪は適度に締まってスノーシュー無しでも歩ける状態で、新雪は10cm程度でラッセルにならなかったが、寒気の影響で高峰到着前から霰が本降りになってしまった。700m峰から高峰までは無雪期の目印や切り口が平らな灌木が見られ、もしかしたら刈り払われた道があるかもしれない。高峰には各種標識やブルーシート、手作り遊具?があったので登山道があるのは間違いないと思われる




除雪された広い駐車場。帰宅後に調べたら不動山農村公園駐車場だった
639m峰に続く尾根。雪がかなり少ない 除雪後に新雪が積もっている
鹿の剥製がかかった民家(冬は空き家) 350m鞍部東側の溜池。堰堤で対岸へ
雪は残っているが10〜20cm程度 雪が消えた場所も。でも藪は無い
標高400mで地形図に無い林道が登場 予定した尾根に雪は少ないし沢音が大きく計画変更
予定変更で林道を進む。危険個所は無い スノーブリッジは無く流れが出ている
林道終点の堰堤。ここで対岸へ 堰堤から上流を見ている
堰堤から北東側の谷 堰堤から北東側の谷の左岸側の尾根に上がる
尾根上。あまり灌木は濃くないようだ 堰堤から続く本流の流れが雪の下に
本流を遡上することに 穴は小さい
足首程度までしか潜らない 小さな滝。左側を高巻き
滝の上流側 高巻きの我がトレース
標高510mの分岐は右へ 転がり落ちてきた雪塊。バームクーヘン状
標高530mの分岐は左へ カモシカの足跡。姿は見えず威嚇の鼻息だけ聞こえた
標高600m付近 標高640m付近
標高670m付近 今年初めてのマンサクの花
標高690m付近。尾根はもうすぐ 尾根直下
登ってきた斜面を見下ろす 700m峰で尾根に乗る
スノーシュー装着。でもメリットは大きくなかった 新雪は10cm程度
690m鞍部から見た犂山。鉾ヶ岳は雪雲に隠れている
720m峰。雪庇に覆われる 720m峰からの下り
標高680m付近。写真右側(南側)は切れ落ちている 標高670m付近。急傾斜でバックで下る
奥の平坦なピークが犂山山頂
カモシカの足跡を登っていく 気温は約-1℃。駐車場所とほとんど変わらず
740m肩を越えて山頂へ 平坦な犂山山頂。人工物皆無
先週と違ってラッセルは浅い 山頂付近の熊棚
高峰へはツボ足で歩くことに 下りで潜っても15cm程度
720m峰へと雪庇が続く この時間帯のみ天候が回復、日差しあり
720m峰から見た北東側。まだ日本海が見えている
鉾ヶ岳が見えたのも一時的 690m鞍部付近の往路のトレース
往路で尾根に出た700m峰を越えて高峰を目指す 700m峰で目印や切り株発見。もしかしたら夏道あり?
赤布の目印 迷彩柄?の目印
荷造り紐の目印も 標高660m付近。大粒の雪が舞い始めた
658m峰から見た高峰方面 658m峰の目印
標高640m付近。西斜面は雪がほぼ消える 標高610m付近から北西を見ている。雪が強まる
標高610m付近。ここだけは蔓藪 標高590m付近の刈り払い。やっぱ道がある?
600m峰でスノーシューをデポ 600m峰の下り
高峰へ緩やかに下っていく 尾根分岐で多数の人工物が登場。道があるはず
三角点は分岐の僅かに手前 立木を利用した遊具らしい
雪が強まり積もっていく デポしたスノーシューにも新雪がうっすらと
帰りは658m峰から南西尾根に入る 南西尾根にも目印あり
標高590m付近 標高550m付近。ここで尾根を離れて斜面を下る
ここを下った。雪がつながり藪は薄い 標高530m付近。急だが雪質が適度でアイゼン無し
まず支流に出る。スノーブリッジはか細い ここで支流を渡る
こちらは本流。デブリのスノーブリッジで林道へ スノーブリッジの下流側。両側は1m以上の雪壁が連続
下ってきたルート 溜池西側が今回利用した林道の起点らしい
溜池手前まで除雪 除雪終点
杉の下は花粉で黄色く変色 駐車場に戻る


 犂山(からすきやま)、高峰は鉾ヶ岳から日本海へと伸びる尾根上にある。犂山は比較的里に近い低山なのにネット検索では1件も登山記録を発見できなかった珍しい山だ。標高は750m程度だが、豪雪地帯に位置するので積雪による根曲がり灌木藪が予想された。先週登った富山の高杉山では新雪ラッセルを心配して犂山とどちらにするか最後まで悩んだが、今週は木曜日に長野北部では平地で10cmも積もる積雪があり、標高が高い山は先週以上にラッセルがきついのは確実なので、標高が低い犂山は最適だった。それに寒気の影響で朝からずっと悪天の予報が出ている点も低い山の方が都合がいい。

 民家が無い林道が除雪されていないこの時期のアプローチは南側の早川側しかあり得ない。犂山へ最短で登るなら真南の中村集落から451m峰がある尾根があるが、崖マークや等高線の間隔からしてヤバそうな雰囲気がプンプン。それに高峰にも足を延ばすことを考えると効率が悪い。両山を登るには不動山北側の沢沿いのどこか適当な尾根を登るのがいいだろう。その場合、車で最も高度を稼げるのは不動山への林道となろう。

 最近は毎週のように山登りには国道148号線、国道8号線ばかり使っているが今週も同じパターン。ただし国道8号線は富山方面ではなく新潟方面だ。焼山登山口の笹倉温泉目指して早川沿いの道を進む。不動山への林道はこの時期は麓の竹内集落までしか除雪されていないだろうと予想していたが、麓ではほとんど雪は残っておらず、山に雪がまだあるのかと心配になるほど。集落を過ぎても雪は無くどんどん高度を上げるがやがて残雪が登場、しかし路上はしっかりと除雪されている。木曜日の新雪が路面にも残るようになるが轍があるので非力な軽自動車でも登ることができた。

 標高320〜330mの傾斜が緩んだ場所にはいくつか人家があるが明かりはついておらず、雪が無い時期だけ人が入るらしい。その集落中に広く除雪された駐車場があり、そこに車を止めた。帰宅後にネットで調べて分かったが、この駐車場は農村公園の駐車場で、今は雪に埋もれたままで利用できないが公衆トイレまであるとのこと。不動山は城跡なのでその駐車場も兼ねているのだろう。除雪に使用した重機のみ置いてある広い駐車場で車中泊。天気予報とは違って上空は満天の星空で、明日も予報が外れて好天にままであることを祈るばかり。

 残念ながら明け方には星は見えなくなっていたが雨や雪は降っていない。予報では早朝よりお昼に近い時間帯の方が天候が崩れることになっていて、せめて雨ではなく雪になって欲しいところ。当然ながら雨具をザックに突っ込んで出発。駐車場の水たまりは薄く氷が張っていた。

 新雪が積もった車道を緩やかに進んで僅かで道路左側に人家が登場し、その壁には立派な角を持った牡鹿の頭部の剥製(トロフィーと呼ぶらしい)が飾られていた。剥製なんて豪邸の室内にありそうなイメージだが屋外とはびっくり。その角は私が山で拾ったどの角よりも大きかった。ちなみに鹿は積雪に弱いのでこの界隈では生息していないと思われる。鹿はカモシカのように雪をラッセルするパワーが無く、積雪が多くなると動けなくなり餓死してしまうのだ。

 林道が左に鋭くカーブする箇所に溜池の看板があり除雪終点。ずいぶん前の大型連休中に不動山に登りに来たことがあるが、その時も除雪はここまでで、その後は雪が残った林道を歩いた記憶がある。その時よりは残雪は多いと思うが、今の雪の状況では大型連休どころか4月半ばまでに雪は消えてしまいそうだ。

 ここで林道と分かれて東側にある溜池の堰堤で対岸へ渡り、緩やかな地形の植林帯を進む。370m峰の僅かに南を巻いて北側の沢へと下る計画だったが、見えている範囲で対岸の斜面には雪はほとんど残っておらず、沢の水音もかなり大きくスノーブリッジが無いと渡れそうな気がしない。ここからは沢の詳しい様子は見えないので実際にはさほど水量は多くなく渡れる可能性もあるが、斜面の雪があまりにも少なすぎる。ここは計画を変更して沢の左岸側を上流側に歩き、雪が多くなってから対岸へ移ることにした。

 尾根上の雪は少なく、場所によっては地面が出ているがこの標高では藪は薄く笹は見られなかった。明瞭な尾根の突端に乗り傾斜が緩むと地形図に記載されていない雪に埋もれた林道が登場。どこに続くのか不明だが、沢の左岸側にほぼ水平に伸びている。ちょうどいいのでこれを辿ることにした。雪が少ないので林道に押し出したデブリがあっても小規模で危険個所は無かった。上流に向かうに従って対岸の雪は徐々に増えていく。

 標高430m付近で林道終点。終点手前でデブリで沢が埋まって対岸へ渡れる箇所があったが、それより下流側ではスノーブリッジは見られなかった。林道終点も左岸側にあるが、これより上流側は左岸は切り立って進むのが面倒であり、傾斜が緩い右岸側へ渡ることにする。ここには仕切り板が嵌められる小さな堰堤があったのでそれを利用して対岸へ渡ったが、沢の水量は少なく無雪期なら簡単に渡れそうだった。しかし今の時期は両岸は切り立った残雪の壁で高さ1〜2mほどあり、下るのも登るのも難しい。結局は水量が少なくともスノーブリッジが無いと渡れそうになかった。

 対岸へ渡って今後のルートをどうするか地形図を見て考えた。ここで左に雪に埋もれた支流が分岐しているでこれを登るのもありだが、上部の傾斜がきつい。それよりもその支流の左岸側の尾根の方が傾斜が緩いので使えそうだ。支流を僅かに遡上してから尾根に這い上がると藪は少ないので行けそうだが、先ほど堰堤で渡った本流の上流側はほとんど雪に埋もれているのが見えた。地形図を見ると本流を遡上して尾根に達するのが最も傾斜が緩いため、さらに計画変更で本流に逆戻りだ。

 本流は数か所で雪面に穴が開いているが大半は雪に覆われて歩きやすかった。1か所だけ小さな滝があり流れが出ていて右岸を高巻き。ここは先に左岸側に渡っていれば傾斜が緩く高巻きせずに済んだなぁ。その後は大きく高巻きするような箇所は無く、穴は無くても雪が薄くなって水音が大きい箇所を迂回する程度で済んだ。雪はそこそこ締まっていてツボ足で足首位までの潜り方だった。

 谷筋を歩いているときにカモシカの荒い鼻息(威嚇行動)が聞こえたがブナで姿が見えない。そういえばカモシカの足跡があちこちにあったのでカモシカがいて当然か。先週は写真撮影絵に成功したが、今回は音源の距離は50m以上ありそう。

 標高510mの沢分岐は右へ、次の標高530m付近では左へ進む。その後は徐々に谷が狭まり歩きやすいところを適当に登っていく。徐々に傾斜が出てくるが雪質が適度なのでアイゼン不要でキックステップで問題なしだった。もう谷間の周囲も地面が出ている箇所は皆無で藪も皆無でルートは自由だ。700m峰直下で傾斜が一番きつくなるがピッケルのお世話になるほどではなく淡々と高度を上げる。尾根直下では新雪が積もって寒そうなマンサクの花を発見。今シーズン初めてだ。

 傾斜が一気に緩むと700m峰で尾根に飛び出した。尾根はやや細いブナ林に覆われ緩やかな雪庇ができていた。まずは犂山を目指して東(右)へ向かう。雪庇でやや潜り方が深くなったのでスノーシューを装着。しかし雪が深く感じたのはこの付近だけで新雪の積雪量は10cm程度しかなく、その下の古い雪はそこそこ締まってツボ足でも大きく踏み抜くことはなく、スノーシューが無い方が楽だと帰りに判明した。

 720m峰手前の690m鞍部では犂山方向の樹林が開けて山頂が見えた。あちらもブナ林に覆われたなだらかな地形だ。その向こう側には鉾ヶ岳が見えているが、残念ながら上部は雪雲の中に隠れて下の方しか見えていなかった。

 720m峰へはやや痩せた雪庇を登っていくが怖いと感じるほどではないし、標高が低いので雪庇の規模は小さかった。720m峰てっぺんは尖って展望がいい場所。その先は650m鞍部にかけて下りになるが、右手(南側)は切れ落ちて雪庇も切れているので尾根直上よりもやや北側を歩いていく。所々で傾斜がきつく、今の雪の状態ではスノーシューだと下りでアイゼンが効かず弱層で思いっきり滑るため、傾斜がある場所ではバックで下った。ツボ足ならバックで下る必要などないのだが。

 650m鞍部から登りにかかるとカモシカの足跡が登場。それを追うようにブナの木の間を登っていく。傾斜が緩むと山頂のすぐ南側の740m肩で、右手には鉾ヶ岳へと続く尾根。山頂は左方向で、これまで同様にブナに覆われた広く緩やかな尾根を進み、頭上が開けた丸い場所が犂山山頂だった。

 人工物は皆無だが、山頂付近だけ上空が開けているということは人工的に伐採された可能性はある。ブナは根開きしていないので積雪量は不明。標高は750m程度しかないので通常なら積雪はそれほどないはずだがここは豪雪地帯だ。2mくらいあるかもしれない。山頂標識が見当たらないどころか目印さえ皆無。ネットで記録が無いだけある。曇って日差しは無いがほぼ無風で山頂で小休止。気温は約-1℃で出発時とほとんど変わっていなかった。

 次に高峰に向かうが、しばらくは往路の自分のトレースを逆戻りだ。ここまでの雪の感触でスノーシュー無しでもイケそうなことと、途中の一部の急斜面でスノーシューでは面倒なこともありツボ足でスタート。山頂南の肩からの下りでは足首位まで踏み抜きがあったが大きな踏み抜きは無く、多少潜ってもスノーシューの重さが無い分だけ足は軽く、この選択は正解だった。結局、そのまま車に到着するまでスノーシューは使わなかったので、結果としては最初からスノーシューは持たない方が良かったことになる。ただし、出発時に雪の状態は皆目分からないし、2日前の新雪が結構あっても不思議ではなかったことを考えれば持って行かないのはリスクが大き過ぎる。本格的な残雪期になれば当たりはずれは少なくなるが、今の時期はうまくいかないことが多いのは仕方ない。

 天候は徐々に回復し、720m峰付近では薄日が差すようになり鉾ヶ岳山頂も雲から顔を出した。ただし海谷山塊は湯もが絡んだままで見えなかったのが残念。今年は烏帽子岳や阿彌陀岳をやってみたいが、いつが適当か悩むところだ。

 700m峰で尾根に這い上がった場所より先はトレースは無いが、ツボ足でも沈み方は大きくないのでスノーシューをサックに括り付けたまま進んでいく。西側の700m峰に達すると南側斜面のブナ林が明らかに開けており、雪面付近をよ〜く見ると平らな切り口の細い木が複数あり、間違いなく人工的に伐採された跡だった。しかも残った太いブナの幹の低い位置にはピンクリボンが巻かれていた。ここまで人工物や人が手を加えた形跡は皆無だったのが、ここへきて突如として人の気配が。そして目印や伐採の形跡は高峰まで点々と続いていて、もしかしたら雪の下には夏道があるのかもしれない。特に目印は何種類も異なった材質のものがあったので、複数人が異なる時期に入っているのは確実で、夏道の存在を強く示唆している。

 680m付近からカモシカの足跡が登場、カモシカも木が無く歩きやすい開けた場所を選んでトレースを延ばしていた。この頃から天気が急激に悪化し、太陽は厚い雲に隠れて大粒の雪が舞い始め、薄いガスがかかって遠望が利かなくなってきた。寒気の影響で天候が不安定で特にお昼前後は悪いと天気予報で伝えていたが、一時的な悪化ではなく予報通りにこのまま悪くなる方向だろうか。

 658m標高点の肩には3種類の目印あり。この先はしばらく西斜面側の積雪量が極端に減少し、ほとんど地面が見えている。尾根西側直下は根曲がり灌木で、尾根直上から東直下は小規模な雪庇が続く。当然ながら木が無い雪庇の方が格段に歩きやすいのでそちらを歩く。標高610m付近では絡み合った蔓藪が出ていたが、これまで見た感じでは蔓はここのみで、登山道が無くてもたぶん無雪期でも藪は濃くないだろう。

 雪の状態はほとんど変わりが無く、この先もスノーシューの出番はないと判断し600m峰でデポ。どうせならもっと早い段階でデポすればよかった。この頃には雪(霰)が激しくなり気温はそれほど低くなく溶けて衣服が濡れるようになったのでゴアの上着を着用した。

 そのまま広く緩やかな尾根を下っていくが、地形図を見ると高峰山頂はピークではなく肩に位置している。いつもなら地形図を印刷する際に山頂の緯度経度を書き込んでおくのだが、今回は手抜きで地図しか印刷していないので三角点の緯度経度は不明だ。私のような地図無しGPSを持っていても緯度経度が不明では山頂は特定できない。しかし幸いなことに三角点より僅かに先で尾根が分岐しているので、これがいい目印になって見逃すことはないだろう。

 三角点位置は分からないまま通過し、標高570mの尾根分岐に到着するとブルーシートに覆われた物体が二つ、雪に埋もれていた。これほど明瞭な人工物が登場したのは林道終点以降では初めてだ。それどころか雪面ぎりぎりにはいくつかの標識が設置されているのを発見。さらには立ち木間にロープを渡した遊具らしきものもあり、高峰へは下界から登山道が付けられているのは間違いなかった。下山後にネット検索してみたら北西側の浦本駅南東側のお寺付近から登山道が存在することが判明した。立派な道とのことであるが、ネット検索で出てくる記録は数えるほどしかなかった。なお、現地の案内標識は「高峰」ではなく「高ノ峰」だった。地元では地形図の山名とは異なる呼び方をしているようだ。

 尾根分岐から僅かに戻った場所が高峰山頂であるが、今の時期は山頂標識は雪に埋もれているのか見えなかった。前記のネットの記録には山頂標識の写真が出ていたが、その高さはせいぜい50cm程度なので雪に埋もれていて当然だった。激しく降る雪の中で小休止。みるみるうちに雪が積もるが1時間で数cmくらいのペースだ。

 帰りは往路を正確に戻ろうと考えていたが、地形図を見ると林道がある沢に下るなら658m標高点肩から下るのが最短距離だ。そこから延びる南西尾根を下り、適当な個所で東側の谷へ下るのが良さそうだ。尾根末端まで下ってしまうと林道終点よりかなり下流に出てしまい、登り返しが必要になることと、スノーブリッジが期待できず沢を渡れない可能性が大であるのでよろしくない。  658m標高点肩で往路から離れて尾根に入っても目印が点在、まさか道があるとは思えないが無雪期でも藪を漕ぐ人がいるらしい。標高550m付近で尾根を外れて左側の雪の付いた急斜面を下っていく。結構な傾斜で下から見上げると登りたくない傾斜だが、適度な雪質で踏み抜きもしなければツボ足で踵がバッチリ決まる程度の柔らかさもあり、アイゼンを付けなくても前を向いて安心して下ることができた。1か所だけ雪が消えた場所があったが藪は薄かった。でも雪の重みで下向きの木が多く、雪が消えた季節には地面付近の枝が邪魔になるだろう。今はそれらは雪に埋もれている。

 下方に見えている沢が接近するとようやく傾斜が緩んでくるが、困ったことに予定していた林道終点よりも下流に出てしまい、スノーブリッジが無いように見える。おまけに上流側に移動するにも支流を渡る必要があり、ここもほとんど流れが出てしまっているように見える。スノーブリッジがありそうな場所を目指して下っていくと確かにあったがあまりにも薄く、とても渡れる状態ではなかった。ただし、沢の水量は少なく無雪期なら簡単にわたることが可能な状態であったが、今の時期は沢の両岸は高さ1〜2mの雪壁で、沢に降りるのも沢から上がるのも簡単ではない。幸いなことに少し藪が出ている所は岸の傾斜が緩やかで、飛び石で対岸に渡り雪壁を登った。

 本流に出るとやはり流れが出てしまい両岸は雪壁で渡ることはできなかったが、上流側に切り立った斜面があり、落ちたデブリが沢を埋めて強固なスノーブリッジを構成していたのでそれを利用して対岸へ。スノーブリッジから下流を見下ろしたが、ここより下流側ではスノーブリッジがありそうな気配はなかった。

 林道に上がると往路の自分のトレースがあった。気付かなかったがいつのまにか雪から雨に変わっていて、見上げる稜線はガスに覆われていた。この後は往路を戻り溜池の堰堤を渡って林道の除雪終点へ。溜池の南側は雪に埋もれた林道があり、おそらくこれが沢沿いの林道起点だろう。駐車場に到着するが、当然ながら他に車は無く、着替えをしていると徐々に雨が強まり本降りになってしまった。周囲には杉が多く花粉シーズン真っただ中なので雨は歓迎。でも山の上ではまた新雪が積もっただろう。次の週末までに雪が締まってくれるといいのだが。

 

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